2011年6月8日水曜日

ヤンカイのケンカ  (クモ合戦)


種子島ではコガネグモ(女郎グモ)のことを「ヤンカイ」と呼び、子供たちのペットの一種であった。
五月から六月、草木の枯れ枝を持って畑の周囲に巣を張るヤンカイをとって集めた。
とくに体の大きいものをダンペー、足が長くスマートなものはアシナガヤンカイ、小型ながらすばしっこいものを赤ヤンカイと区別する。
一〇匹くらい採取しては庭先の樹木に移し、ヤンカイの好物であるチョウや川ヤンカイを与えて、合戦の時まで飼育した。
合戦の時は、それぞれ自慢のヤンカイを長さ三〇~四〇㌢の竹の上に移して合戦させるが、戦闘意欲の無い時は上から砂をかけると不思議と戦闘が開始される。勝負は先に棒から地面に落ちた方の負けである。
種子島のヤンカイのケンカは加治木のクモ合戦と大小異であるが、士気を鼓舞する薩摩独特の遊び、いやそれ以前の古代から伝わる南九州の子供の遊びといえよう。

(広報にしのおもて 市政の窓 昭和58年7月号)

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