2012年3月3日土曜日

ひなまつり


初節句、女の子が誕生して初めての節句の日は、夜は親類縁者がお祝いにやって来るから、主婦は早朝からその料理の準備で忙しい。
お客はダーと呼ばれる花や餅で飾ったお膳を持って集まって来る。ダーとはお膳のこと。床の間には、鹿児島の市で買った泥人形(東郷人形・帖佐人形)が飾られ、床の間の座敷には、持ち寄ったダーが並べられる。親戚の多い家では、座敷一杯にダーが並んだ。
ダーはお膳の中央に大根を10センチ程度に切ったものを置き、それに季節の花々を刺して飾る。その周りには紅白の菱餅、丸餅、緑色のよもぎ餅、さらに美しい着物が並べられる。
美しく飾ったダーの前で、娘が美しく、器量良く、健康に育つことも祈念して、深夜まで酒盛りが行われる。
翌朝、ダーのお膳を返さなければならない。お客から頂戴した餅を少しずつ配分してお膳に載せて、お返しする。こんな素敵なお祭りは大正時代頃まで行われていたという。

( 広報にしのおもて 市制の窓 昭和59年3月号)

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