秋は渡り鳥の季節である。
種子島の漁師はこの秋に、ちょうど馬毛島の北端と開門岳の間から吹いてくる北西風を「小鳥渡し」と呼んでいる。
運動会で賑わうころ、小鳥たちは風を利用して群れをなし、暖かいこの島へ越冬にやってくる。
たとえば、ヒヨドリ、サギ、セキレイ、ツグミなど、五十種類以上が挙げられる。
種子島の子供たちはこの渡り鳥の季節になると「どっきゅう」とよぶパチンコを作る。
ビワやトベラなどの木の二又になった小枝を見つけて外皮を剥ぎ、糸でU字型に固定し火にあぶる。
ヒモは自転車のチューブ等のゴムが使われた。石を挟む所は特に柔らかい皮を当てた。
丸い小石をポケットに入れて野鳥に放ち捕獲するのである。
この「どっきゅう」はいつごろ伝来したか不明であるが、中国との交流がさかんであった種子島の歴史の落し物であろう。
中国では「弩弓(どきゅう)」と呼ぶ。
ゴムが使用される以前は立ち木のバネを利用したのであろう。
それにしても中国の遊びがいつの時代にか伝来し長年通過した今でも絶えることなく呼称を正確に伝えてくれていることは、単に子供の遊びとして単視出来ない一民族の貴重な資料である。
この他「突く鉄砲」などがあった。
(広報にしのおもて 市政の窓 昭和58年11月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿